大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和29年(あ)1159号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人中野大三郎の弁護人原田左武郎及び被告人富田五郎、同北浜勝市の弁護人中栄敬太郎の各上告趣意はいずれも事実誤認、単なる法令違反の主張を出でないものであって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(原審の認定した事実によれば、本件鯨血塩は鯨肉の貯蔵に使用した塩が溶けている血汁から製造された塩なのである。そしてその使用された塩がたとえ専売公社の売り渡したものであったとしても一旦それを使用処分した結果生じたその塩分を含有するに過ぎない血汁から再び塩を採出すれば、それは新たに塩専売法にいわゆる塩の製造に該当すること勿論であり、[塩の再製、加工の観念については専売法一条四項、五項参照]従って事実審で確定された被告人等の所為が同法四二条に違反するものであることは明らかである。既に本件鯨血塩が新たに製造された塩である以上、これに対し専売公社にその収納義務があるか否かは結論を左右するものではない)。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例